遠出の忘備録

茫洋と行きたいところに行くだけ

レイキャビクのバンクベッド

2016年の9月末にアイスランドへ行った。

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レイキャビクKexというホステルに4泊して、アイスランドに行くひとがだいたいするように、鯨を見に行ったり、Blue Lagoonに行ったり、オーロラを見に行ったりした。

(その記憶は後々あたまのなかをかき回して、ここに追憶したい)

まだ暗いうちにロンドンを出て、格安航空機に乗ってここまで来たので、Kexに着いたのもまだ朝の時間だった。Check-inの時間にはずいぶん早かったのだったが、快適な滞在に固執するがゆえ、スタッフに、ベッドを選びたい、とリクエストした。Check-inの時間には、わたしはBlue Lagoonで青いお湯に浸かっている想定だったから。

わたしがKexで予約した部屋は6人部屋で、というのも、レイキャビクの物価がロンドンよりもはるかに高く、ホテルのシングルルームに泊まるとしたら予算を大幅に修正しなければならなかった。そして、それは不可能だった。

女子のみの6人部屋。ホステルには慣れているので問題ない。ただ、どこに寝るかは選びたい。

わたしが個人的に決めているのは
 1。ベッドの近くに電源があること
 2。バンクベッドの下段を確保すること
 3。静かと思われる位置のベッドを確保すること

それで、スタッフにリクエストして、その条件にあうベッドを予約してから、レセプションに荷物を預け、街に漂いに出たのだった。

その日のたのしいことが終わってKexに戻り、自分に振りあてられた部屋に行って、静かにドアを開け、数人いた女の子たちにハローと言い、自分が予約した番号のベッドを見ると、ふつうに先客が占領していた。

うぐ、と思ったが、よくあることなので、先客にこのベッドはわたしが予約したことをふつうに話した。

彼女はどかない。ふつうによくいる頑固な女子だった。わたしも驚かない。

でも、わたしもこういうときは頑固になると徹しているので、ここに寝ます、と宣言する。ちなみに、わたしは当時48歳で、女子はたぶん18歳から25歳の間。

女子と言い合いになっていると、急に他の女子数名が「うおおおおお!」と叫んで、窓にかけより、それぞれが口から溢れ出る感嘆を声にして絶叫し始めた。

 

 

オーロラだった。

これはiPhoneで撮ったものだけど、iPhoneでここまで撮れるオーロラというのはすごいのではないだろうか。

それがもう、見ているそばからゆらゆらと形を変え、二重になったり広がったり、濃くなったり薄くなったり、生き物のようなのだ。

わたしも、ベッド略奪戦の女子も、部屋のみんなが大騒ぎで、きゃあきゃあ言って部屋を出て、共有スペースにあるバルコニーに出て、みんなでオーロラを見た。高所恐怖症のわたしは、網目のように鉄が張ってあるだけの、下が見えるようになっている床のバルコニーが怖くて、出られなかったのだが、同室の女子が手を繋いでくれて、一緒に広い空を見た。

わたしが滞在した4泊5日は、アイスランドで10年に1回あるかないかというオーロラの当たり日だった。レイキャビク市はこのオーロラを最大限に愉しむために、翌日から夜の9時以降は市内の全電気を消す措置を図ると発表した。

流れてゆくオーロラを追って、バルコニーを出て、Kexを出て、みんな海へ向かった。わたしも行こうと思ったが、昨夜は3時間ぐらいしか寝ていなかったし、もう疲れたので、ひとりで部屋に戻って、適当な空いているベッドに潜り込んで何も考えずに、寝た。

写真は全部Kex。早朝に撮ったので、暗い写真が多い。

ここでは、コンサートもしていて、わたしが滞在した日は日本のバンドが演奏した。幾何学模様という名のバンドだった。その夜はいろいろなひとが声をかけてくれて、一緒にオーロラを見たり、話したりした。ロンドンにはないフレンドリーさがあった。